Sky Factoryは設立以来、構図原理を応用して、だまし絵や多感覚に訴えかける絵の性質を自然のイメージに与える方法の発展に取り組んできました。私達は、だまし絵の性質は、普通の具象的な絵から得られるよりも深いリラックス反応を、見る者から引き出せると考えています。また、こうしただまし絵は、屋内環境の主観的な体験を変え得るとも考えています。
私達は、こうした絵を設置する実地試験を医療の場で10年間行いました。その結果、単なる装飾的な自然の絵よりも明らかに開放的で広々と感じたという証言を、患者やその他の人々から得られました。つまり、精神心理学的な現象が発生するということは明確です。
多くの人が、このOpen Sky Compositionsの前では、深いやすらぎを感じたり、瞑想のような状態になったりすると報告しています。ここから、私達の設計チームは、こうした多感覚に訴えかけるイメージに存在する構図的な要素が影響を与えていることを理解しました。精神心理学的な影響は、イメージパネルの色温度の調整や光強度などといった同じくらい重要な設計要素や、建物の窓枠の独特の使用方法によって複合的に形成されます。
もちろん、個人的な体験は主観的性質を持っているため、こうした体験との神経学的な相関性を表わす科学的な証拠はありません。
そのため当社では、Sky Factoryの製品を特定の環境で設置した場合や、特殊な必要性があって外に出られない人のために使用した場合に作用する認知メカニズムの理解を深めるための、共同科学研究を進めています。また、この研究に興味を持った研究者を招き、プログラムについての詳細を説明したり、共同作業を行う方法を議論したりしています。
テキサス工科大学のデザイン学科および人間科学類がSky Factoryと共同で行ったニューロアーキテクチャーにおける先駆的な研究「Neural Correlates of Nature Stimuli(自然からの刺激との神経の相関)」が、Environmental Design Research Association(EDRA)によるCertificate of Research Excellence (CORE)を受賞し、2017年5月31日にウィスコンシン州マディソンで開かれる年に1回のEDRAのカンファレンス、EDRA48のAwards Galaで表彰されます。
テキサス工科大学の研究者、Debajyoti Pati博士、Michael O'Boyle博士、Cherif Amor博士の主導で行われたこのプロジェクトでは、Sky FactoryのOpen Sky Compositions(自然からの刺激)に接することで脳の活動に特定のパターンがあるかを、他のポジ、ネガ、ニュートラルそれぞれの自然のイメージに接した場合と比較して検証しました。
この研究は、注意をそらすのではなく、認知的な作用と癒しの効果を狙った、環境的/建築的なだまし絵としてデザインされた架空の空の知覚において発生する認知メカニズムの理解と検証を目的としています。
この研究でデザイナーは、より高度な仮説をたてることができましたが、Sky Factoryの設計スタジオでは、研究デザインやデータ分析に関するインプットは得られませんでした。この研究は複数の治験審査委員会(IRB)により監督され、科学的なメリットと堅牢性が確保されました。
また、Health Environments Research & Design Journalの2014年12月(冬)号で査読されました。
全文については 当社のプレスリリースをご覧ください (EN)。
Design & Health International Academy Awards この画期的な研究は、遡ること2014年夏の、第10回Design & Health World Congressにおいて、トロントのフェアモントロイヤルヨークホテルで開催されたDesign & Health International Academy Awardsで、Best International Research Project of the Yearも受賞しました。
Sky Factoryとテキサス工科大学との共同研究は、次の研究に向かいました。それは、Open Sky Compositionsを内科外科部門の病室の天井に組み込み、どのように臨床的、項動的結果に影響するかを検証するものでした。被験者群には、4インチ×6インチのLuminous SkyCeilingsをベッドの真上に取り付けた部屋が割り当てられました。比較群には、一般的な吸音タイル製の天井で、他の部分は被験者群と全く同じ部屋が割り当てられました。
成果論文「The Impact of Simulated Nature on Patient Outcomes」によると、空の構図の写真による研究では、Luminous SkyCeilingsを見ながら過ごした被験者群の患者の半数以上(53.40%)の激しいストレスに、3分の1以上(34.79%)の不安感に差が見られたことが明らかになりました。
この研究については、Health Environments Research & Design Journalの2015年10月号で査読されました。
この研究の全文については、当社のプレスリリースをご覧ください (EN)。
Sky Factoryは現在、イギリスの国民保健サービストラストと共同で、Luminous SkyCeilingsの患者体験やMRIの効率性に与える影響の測定と検証を行っています。
検査の遅れやキャンセルに加え、患者のMRIの手順に対する恐怖感や不安からのやり直しなどで、病院の検査当たりの平均単価は上昇します。画像取得検査は、実施環境の整備に高額な費用がかかります。患者のストレスを軽減し、リラックスして静止できるような環境デザインにすることで、技師のMRI実施の効率性が高まります。
Sky Factoryは現在、Personal Revelation SkyCeilingが補助救急専門外来(ER)に収容される高齢患者のせん妄発作をどの程度遅らせることができるかを明らかにする研究を共同で行っています。
ERは、せん妄を起こした患者の経過観察を行う最適な場所とは言えません。一般的なERの環境は隔離された設計になっており、ここに収容された患者が味わう失見当識を悪化させます。ただし、多忙な病院では、一晩きりの入院者に一般病室を割り当てることができないことがよくあります。
この研究では、屋外の自然風景を疑似的に見せる視覚的な天窓によって、患者の不安を、続いて起こるせん妄発作を軽減させるのに十分なほど取り除くことができるかを検証します。